動物・植物図鑑より、もっと身近な電気の図鑑を読んでみて!
図鑑と言えば、大抵は動物や植物の図鑑が人気ですよね。実際本屋で探せばたくさん置いてあります。
でもよく考えて見てください。現代を生きる我々にとって、人以外の動物や植物に触れあうよりも電気に触れあうことの方が多いはず。
ということで電気の図鑑を紹介します。
電気の図鑑って珍しい
先日、とある本屋で偶然見つけて手を取ってしまったのが「電気 (学研の図鑑)」です。図鑑と言えばやはり動物や植物に関するものが多いですし、こういう図鑑って珍しいなと思いました。思わず手を取った後、一時間以上かけて一冊じっくり読みました。その感想は、「この図鑑なかなかレベル高いぞ」でした。
学研の図鑑は小中学生くらいの子どもをターゲットにしていると思ってました。この電気の図鑑でも小学生でも読めるよう漢字にはふりがなが振ってありますし、難しい数式なんて全く出さずに全て絵と文章のみで説明しています。しかし子ども相手だからと言って妥協せずにハイレベルな内容まで踏み込んでいます。
この図鑑では義務教育レベルを超えた、大学レベルの内容にまで踏み込んで解説されていました。私は大学で電気を専攻していましたし、電気主任技術者という電気の国家資格も取得しています。それでもなるほどと思えるような記述がいくつもあり、遠い昔に習った内容を思い出して懐かしく感じたりもしました。
電気は最も身近な存在
今の我々の暮らしには電気が欠かせません。この文章を読んでいるあなたが使っているスマホやPCも電気で動いていますし、家の照明や家電も電気で動かしています。それなのに電気のことを詳しく知っている人は少ないです。
別にこれは悪いことではありません。身近な電気機器がどうやって動いているのか、そもそも電気ってどこから送られてくるのか、そんなことをわざわざ知らなくても快適な生活が送れる世の中になっているのです。しかしそれは電気を学び、我々の世の中で電気を活用できるように取り組んでいる人たちがいるからです。
電気の図鑑は他にも無いのかアマゾンで調べてみましたが、かなり少ないですね。「科学」などもっと広いテーマの図鑑はあっても、「電気」に絞って書かれている図鑑は数少ないです。やはり動物や植物の図鑑の方が売れるのでしょう。「電気」というテーマだと大人でも興味を持つ人は少ないでしょうし、子どもに分かりやすく説明するのも難しいですから。
肝心の本の内容は
電気の図鑑では電気に関する様々な情報が網羅されています。電気の発見に関するエピソード、雷や静電気といった電気にまつわる自然現象、オームの法則や電磁誘導などの義務教育で習うような理論、テレビや冷蔵庫、プリンターなどが動く仕組み、発電所で発電された電気が各家庭に届けられるまでの仕組み、スマホやゲーム機にも使われているLSIやトランジスタなどの電子部品の動作原理など。
正直言って小中学生が読んでも理解しきれないだろうと思います。これだけ多くのテーマに関して基礎的な知識や数式を知らずに理解するのはなかなか厳しいです。この本を読んで全て理解できたと言う子どもがいたら、ちょっと尊敬してしまいます。
しかしよく考えてみれば、それは動物や植物の図鑑でも同じですね。義務教育で図鑑の内容を全て網羅できるように深く学ぶことはないですし、子ども向けの図鑑の内容でも全てを理解している大人は少ないでしょう。今の時代分からないことはネットでいくらでも調べられます。理解できなくても、電気というテーマに対して興味を持つきっかけになればそれだけで価値があると思います。
この本の欠点を挙げると、発行されたのが1991年のため最新の話題に対応できていないことです。スマホの仕組みについては書かれていませんし、テレビに関してはブラウン管テレビについては書かれていても、液晶テレビやプラズマテレビについては書かれていません。ただ電気の理論や発電のしくみなどに関してはたかが20年や30年で変わることはないので全く問題ないです。
もっと新しい本が欲しいなら
これまで紹介した学研の電気の図鑑は1991年発行ですし、アマゾンでも中古しか取り扱っていません。もっと新しい電気の図鑑が欲しいという人には技術評論社の電気の図鑑 (まなびのずかん)をオススメします。「オススメします」と書きましたが、子ども向けに書かれた電気の図鑑自体がマイナーなので他に選択肢がありません。
話題の豊富さに関しては学研の図鑑の方が多いですが、基礎的な電気の理論や回路素子、身近な電気の応用例についてはしっかり書かれています。ざっと読んだ印象ですが、理論的な説明に関してはこちらの方が丁寧かなと思いました。
まとめ
動物や植物よりも、もっと身近にある電気に関する図鑑を読んでみましょう。電気の基礎から応用までを数式を使わずビジュアルに説明しており、馴染みにくい電気に興味を持つきっかけになればいいなと思います。